wiredの編集長のクリス・アンダーソンの書いた「FREE」を読んだ。
PHISHのFREEは好きな曲だが、この本も面白かった。
p296のこの記述がだいたいすべてこの本に書いてあることを要約しているように思う。
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「みんなが音楽を無料のものだと考えているのは悲しいわ。私達の仕事に価値がないと
言うのと同じだもの。友達同士でCDをコピーして音楽を無料で手に入れるのは、
アルバム作りがどんなに大変な作業なのか理解していないからよ by シェリルクロウ」
どこが間違っているかわかっただろうか。価値のものさしが金銭しかないというところだ。
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でも、シェリルクロウはライブで稼ぐことができる。しかし、CDの売り上げは落ちたかもしれない。
FREEとはそういうもので、今までやり方ではお金を稼ぐことはできなくなるかもしれないが、
価値のあるものに対して対価が払われなくなるのではない。
というか、本当に価値のあるものは対価を支払われやすくなる。
もともとマーケティングにおける無料とは、
1個買ったら、もう1個は無料とか、
試供品を無料で進呈とか、
そういう、最終的に自分に跳ね返ってくる無料だった。
しかし、wikipediaとか、無料のトライアル版では、
自分に跳ね返ってくる金額が無視できるほど小さいか、または無料である。
それをFREEと呼んでいる。
なぜなら、wikipediaへの寄付は、googleやsunが行っているが、
その寄付を大量のユーザで割ると、とても小額になるし、
無料のトライアル版は一部の有料版を使っているユーザからの支払いで
成り立っているからである。
なぜそれができるかというと、通信にかかるコストがとてつもなく小さいから。
もうひとつ重要なのが、
この無料のWEBという世界で、人は、
「評判」を集めるということに喜びを感じ、
それに対し労働をする。
つまり、多くの人に自分のサイトを見てもらえれば、お金儲けをしなくても満足するということ。
その労働力によってwikipediaだけでなく、色々な情報がWEB上に蓄えられ、
無料で多くの情報を得ることができるようになっている。
これはマズローの欲求のかなり上の「自己表現」の欲求によるものらしい。
生きていくことに不便を感じなくなった社会にとって、
人に認めてもらいたいなどの自己実現欲求が高いのは当たり前で、
仕事では満たすことができない、人気者になりたい欲求を満たせる場として当然なのかもしれない。
評判という貨幣が金銭の貨幣に取ってかわろうとしている。
評判を上げたり下げたり、上げられたり下げられたりということが、
WEBの世界では起こっていくのだと思う。
それが現実社会にとても影響を及ぼしていくのだと思う。
中国で不正コピーがなくならないことを、中国はダメな国だなと思っていたが、
この本を読んで、今の時代の流れからは自然なことかもしれないと思うようになった。
だって、事実、お金かけずに手に入れられるんやもん。
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